PRの真髄は「報道」にあり

広報戦略

今回は、企業活動としてのパブリック・リレーションズと報道の関係について考えてみたいと思います。

企業は売上を増やすことを目的として広報宣伝活動を行います。有償のものであれば広告、無償のものであれば自社ウェブサイトでの発表やSNSなどを通じた広報活動が考えられます。

中でも重要なのが報道発表、すなわちプレス・リリースです。聞くところによると報道機関には毎日数千件のプレスリリースがメールやFAXで届くそうです。

企業が売上向上のために広報宣伝活動を行うに当たって、企業の狙いに沿って報道されることが望ましいのは明らかです。

何故なら広告には多額の費用がかかり、しかも広告の効果というものが弱まる一方だからです。例えばテレビCMについて考えてみましょう。昔はいまより娯楽が少なく、人々が情報を得る手段は限られていました。

テレビが一般家庭に普及した時代、殆どの人は毎日テレビを見ていました。判りやすい例で、NHKの「紅白歌合戦」を見てみましょう。昭和38年の視聴率はなんと81.4%(ビデオリサーチ調べ、以下同じ)です。それが平成12年頃から5割を切るようになり、平成18年には4割も切って39.8%になりました。昨年はやや持ち直して44.5%です。

NHKにはテレビCMがありませんが、各局視聴率は総じて低下傾向にあります。その原因は、メディアの多様化にあります。テレビ放送だけで考えても、衛星放送などの普及により多チャンネル化が進みました。また録画機器も発達し、視聴者は好きな時間にテレビCMを飛ばしてコンテンツを楽しむことができるようになりました。

何よりインターネットとその端末の普及は、若い世代のテレビ離れを引き起こしました。テレビと同様に、新聞各社も発行部数を減らし続けているようです。

テレビCMや新聞広告に巨額の広告投下を行うだけでは、充分な宣伝効果を、以前ほどは得られない時代になったのではないでしょうか。

そして同じ情報であっても、消費者は「広告枠」の情報よりも「ニュース・コンテンツ」の情報をより信用する傾向があります。数年前まで市場で「みのもんた効果」という現象が囁かれていました。お昼の番組で例えば「イカは体に良い云々」と紹介されると、その日のうちに店頭でイカの品切れが続出する、という現象です。

①メディアの多様化により一媒体あたりの広告効果が減衰している
②人々は広告枠の情報よりもニュース・コンテンツを信頼する

以上の理由により、広報宣伝活動においてはプレス・リリースの重要性が今後ますます増してくるものと思われます。

そして最近ではプレス・リリースの配信を代行する会社や、記事広告を配信するメディアも増えて来ました。高度情報化社会において、消費者はその情報が広告なのか報道なのか、だんだん区別がつかなくなっていくのかも知れません。またそのような記事を配信させることができれば、パブリック・リレーションズとしても大きな成果を得たことになるでしょう。

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